老眼鏡をかけると老眼が進むのか?

老眼鏡をかけると
老眼が進むのか?

「老眼鏡をかけると老眼が進むので目に悪いと聞いたのでかけない」という人がいますが、これは誤解です。

なぜこのような風説が広まってしまったのでしょうか。おそらく、老眼鏡を作った人たちが、その後も老眼が進行したことで、それを老眼鏡のせいだと考えたからではないかと考えられます。

このような風説は今も根強く残っており、老眼によって書類やスマホの文字が見にくくなっているにも関わらず、かたくなに老眼鏡を作らない、あるいは老眼鏡を作ってもほとんど使わない人は少なくありません。

 

医学的には、「老眼鏡をかけると老眼の進行が早くなる」ということは全くないのです。

それどころか、老眼になったら、むしろ老眼鏡は積極的にかけるべきとされています。

目が手元を見る時には、目の中の筋肉を使って、水晶体の屈折力を変化させて、焦点を手元に合わせています。老眼によって手元に焦点を合わせる能力が衰えると、その筋肉は最大限の力を使って焦点を合わせようとします。その結果、筋肉が疲労してしまい、最終的には筋肉が収縮することができなくなり、焦点を合わせることができなくなってしまいます。したがって、老眼鏡を使わずに手元を見続けると、さらに手元が見えにくくなってしまうのです。つまり眼精疲労となってしまいます。

 

それに対して老眼鏡をかけた場合には、目の中の筋肉を使わずに目の焦点を手元に合わせることができます。言い換えると老眼鏡は、目の中の筋肉の代わりに仕事をしてくれるのです。その結果、目の筋肉が疲れずにすみ、夕方以降も眼精疲労となりにくく、良好な視力を維持することができます。

 

また、「老眼鏡を使わないで手元を見た方が、目が鍛えられる」と信じている人もいますが、これも事実ではありません。つまり、目の中の筋肉は、体の他の筋肉のように「筋力トレーニング」はできない、ということです。

以上の医学的な理由から、私は老眼の年齢になった患者さんたちには、老眼鏡は積極的に使うべきです、と患者さんに説明をしています。

 

なお、老眼鏡の度数の決定には、その人の年齢、作業したものの距離、左右の目の度数のバランスなど、眼科の医療知識が必要です。老眼鏡を作る際には、眼科を受診し、処方箋を作ってもらって、それを持って眼鏡店に行って作りましょう。

眼科専門医の立場からは、度数の決まっている非常に安価な老眼鏡やルーペはお勧めしません。その目の度数は、人によってまちまちであり、メガネは洋服の大きさをS・M・Lから選ぶのと同じような方法ではできません。その人の目に合っていない度数の老眼鏡をかけた場合には、よく見えないだけでなく、眼精疲労やドライアイなどの疾患の原因にもなります。

 

以上の理由から、老眼の症状を自覚したら、積極的に老眼鏡をかけることをおすすめします。
ただし、注意しなければいけないのは、老眼鏡をかけても老眼ではない状態と同じ見え方になるわけではない、ということです。日常生活ではあらゆる距離に焦点を合わせなければいけないので、1日の中で何度もメガネをかけたり外したりする必要があります。それが老眼鏡の限界です。また、近視の人が老眼になると、メガネをすると手元の文字が読めなくなります。メガネを外せば手元は見えますが、老眼になるとメガネをかけ外しする必要があることは、遠視の人と同様です。したがって、遠視と近視のいずれのタイプの人も、メガネのかけ外しによる不自由さ、効率の悪さを感じる場合には、この本で紹介する老眼治療手術を検討する必要があります。

監修医師 山﨑 健一朗

院長紹介

院長資格

  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 日本で初めてフェムトセカンドレーザー白内障手術を開始
  • 2017年 著書「人生が変わる白内障手術」出版
  • 多焦点眼内レンズ5,753件(2008年9月から2025年12月)
  • レーザー白内障手術5,564件(2012年6月から2025年12月)
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