そもそも近視・遠視とは何か?
原因は?



近視や遠視は、目の構造的な要因、主には眼軸(目の長さ)の過不足によって、目に入ってきた光が網膜にきちん焦点が合わず、網膜上に正しく像を結ばない状態を指します。これはいわば「目の設計図のズレ」による見えにくさです。遠視や近視の原因としては生まれつきの要素が大きく、状態には個人差があります。つまり、近視や遠視によって幼少期からメガネが必要な人もいれば、若い頃にはまったく視力の問題がなく、メガネの必要がない人もいます。
それに対して、目の調節力の強さには、生まれつきによる個人差はほとんどありません。そして調節力の低下、つまり老眼は加齢に伴って誰にでも起こる変化です。もとの視力の良し悪しに関係なく、目の調節機能は年齢とともに徐々に低下していき、早い人では30代後半から、一般的には40代に入ると徐々に老眼による症状を自覚するようになります。
この変化に個人差、性別差、人種差はほとんどなくありません。つまり誰でも若い時には老眼の症状はありませんが、必ず老眼の状態になります。
目の調節はどのように行われているのか──ヘルツホルム理論
老眼は加齢によって目の焦点を変える調節力が低下することですが、その調節がどのように行われているのか自体が不明です。また老眼それ自体も、どのような原因で老眼の結果となるのかも不明です。
ただし、調節力の生理については、いくつかの予想理論があります。
ヘルムホルツ理論は150年以上前に提案された古典的な調節力の理論で、遠くを見る際は、毛様体筋がリラックスしてチン小帯が引っ張られることで水晶体が平らになりピントが合いますが、近くを見る際は、毛様体筋が収縮してチン小帯が緩むことで、水晶体が自らの弾性で厚みと曲率を増し、必要な屈折力を得てピントを合わせる、というものです。
他にもその後に発表された理論にコールマン理論やシャーチャー理論があります。中には近年になって発案されたものもあります。具体的な水晶体のどの場所が調節に関係しているのか、毛様体筋がどのように作用しているのかについて、そのどれもが内容に相違があるものの、毛様体筋の収縮によって水晶体のカーブが変わることによって目の調節能力をつかさどっていると言う要素は共通しています。
目の調節のメカニズム

左:遠くを見るとき
毛様体筋が弛緩し、毛様小帯が緊張すると、水晶体のカーブが平らになる。
右:近くを見るとき
毛様体筋が収縮し、毛様小帯が弛緩すると、水晶体のカーブが丸くなる。
左は遠くを見ている状態で、右は近くを見ている状態。近くを見る時には毛様体の輪状筋が収縮し、毛様体小帯が弛緩することで、水晶体のカーブを変えて屈折力を増加させる。目の調節力のメカニズムにはいくつかの説があり、ここでは最も広く知られているヘルムホルツ理論を採用した。


