メガネでは老眼の不便さを完全には解決できない

メガネでは老眼の不便さを
完全には解決できない

メガネでは老眼の不便さを完全には解決できない老眼といえば、一般的には「手元が見えにくくなること」と思われがちです。

それでは、老眼になっても老眼鏡をかければ、老眼になる前と同じように見えるのでしょうか?

いいえ、老眼になった場合に老眼鏡などのメガネをかけても、若い頃のようには見えるようにはなりません。

それが「老眼の不便さ」の本質なのです。

老眼による不便さの本質は、「単純に手元が見えにくくなる」ことではなく、「遠くと近くの両方を同時に見ることができないために、生活のあらゆる場面で不便さが生じる」ということです。

 

日常生活では、遠くと手元を繰り返し、交互に見なければいけない場面があります。

老眼が進行すると、遠くと近くという異なる距離を交互に見る作業において、両方の距離をクリアに見ることができなくなります。

遠くと手元を繰り返し見るシーンとは、たとえば運転中にカーナビの画面やメーター類と前方の道路や車の状況を交互に見る、パソコン作業中に画面と手元の資料を何度も見比べる、あるいはスーパーで手書きのメモを確認しながら棚の商品を探す、飛行機のチケットを見ながら電光掲示板を確認する、などが挙げられます。

老眼が進行すると、こうした手元と遠くの両方をクリアに見ることができず、どちらか、あるいは両方の距離が見えにくい状況の中で、家事や仕事、日常の用事をこなさなければいけなくなります。すると作業の効率が落ちたり、時には数字などを見誤って、仕事などで間違いを起こす可能性も上がります。

 

当然、それに対して、老眼になった人は老眼鏡や遠近両用メガネを作って対処をします。しかし老眼の重要な点は、老眼鏡や近視用メガネの掛け外しといった方法では、老眼による不便さの、本質的な問題が解決しないことにあります。

 

老眼鏡は近くに焦点を合わせることができる反面、遠くの視界はぼやけてしまいます。したがって、手元を見るときは老眼鏡をかけ、遠くを見るときは外す、という操作が必要になり、頻繁に遠くと近くの距離を短時間に頻繁に変えることはできません。例えば会議で資料とプレゼン画面を交互に見る、パソコンを見ながら手元の書類も読む、車の運転中にカーナビを見る、といった場面ではその不便さが顕著です。

そのような場面では「遠近両用メガネ」も、完全な解決法にはなりません。遠近両用メガネとは、メガネレンズの上部に遠方用の度数、下部に近方用の度数を組み合わせたメガネです。一見、便利なようですが、視線の高さによって見える距離が限定されており、遠くと近くの距離を、同じ視線で見ることはできません。視線を上下に切り替える必要があるため、やはり見える距離に限界があります。たとえば、階段を降りるときには視線を下に向けなければいけませんが、遠近両用メガネでは視線を下に向けると近くに焦点があってしまい、足元の距離には焦点が合いません。特に黒くて段差を判別しにくいエスカレーターや、薄暗い場所の階段では、見にくさを自覚します。このような理由から、遠近両用メガネは、作ってはみたものの使わなくなってしまう場合があります。

他にも、遠近両用メガネの一種として、「累進レンズ」があります。これは、レンズの上から下へと度数が徐々に変化していくことで、遠くから近くまでの距離を1枚のレンズでカバーできるように設計されたメガネです。しかしこれも遠近両用メガネの一種であり、それぞれのレンズの部分では、遠くか手元にしか焦点があっておらず、焦点のあっていない距離をはっきりと見ることはできません。また、自分の見たい距離に対応する度数部分を、正確に視線と頭の角度で合わせなければならず、慣れるまでに時間がかかるという課題があります。

また、老眼鏡も遠近両用メガネも、視野が狭く感じたり、レンズの周辺部が歪んで消えるなどの場合があります。

 

結果として、老眼になると、いかなるメガネを用いたとしても、「視界全体にわたって自由に焦点を合わせられる」という若い頃の見え方を得ることはできません。特に、遠くと近くを何度も交互に見るような作業、たとえばパソコンの画面とキーボード、プレゼン資料と会場の反応、運転中のカーナビと前方確認といった場面では、その限界が顕著に現れます。老眼は、一般で考えられているよりも、もっと厄介な状態であり、仕事や日常生活の作業の効率を落とします。

監修医師 山﨑 健一朗

院長紹介

院長資格

  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 日本で初めてフェムトセカンドレーザー白内障手術を開始
  • 2017年 著書「人生が変わる白内障手術」出版
  • 多焦点眼内レンズ5,753件(2008年9月から2025年12月)
  • レーザー白内障手術5,564件(2012年6月から2025年12月)
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