白内障と老眼について
多くの方にとって「白内障」や「老眼」は年齢を重ねるとともに症状があらわれはじめますが、このどちらにも水晶体やその周辺にある毛様体などの状態が大きく関わっています。
白内障は水晶体の濁りによって光の屈折の調整を難しくさせ、視力に影響を及ぼします。一方、老眼は水晶体やその周辺の組織の弾力性や筋肉に問題であると考えられていますが、はっきり分かっていません。私たちが遠くのものも近くのものも見ることができるのは、水晶体が屈折率を柔軟に変化させているためです。
ところが、加齢によって水晶体などの調節力が衰えた状態になると、近くのものにピントを合わせるのが難しくなってしまいます。
これが「老眼」のメカニズムといわれています。
白内障の手術ではもとの水晶体を除去し、人工の眼内レンズに入れ替えます。従来から使用されている単焦点眼内レンズは一定の距離にしか焦点が合わないため、遠方だけに焦点を合わせたレンズだと手元はぼやけてしまいます。これでは「老眼」の状態は治らないため、(あるいは若年者の場合には手術後よりもむしろ手元が見にくくなってしまうため)手術後も日常生活上において手元の新聞を読むときや携帯電話をみるとき、コンピューターを使用するときなどに必ず老眼鏡が必要となります。
このような問題を解決するために開発されたレンズが「多焦点眼内レンズ」です。
多焦点眼内レンズは近くと遠くの両方にピントが合わせることができるため、白内障と同時に老眼も治療が可能となり、術後の生活において高い確率で眼鏡を必要とせずに過ごすことが可能となります。