眼内レンズの正確な度数決定に必要な機器・IOLマスターとアルゴスの技術について
光学式生体計測装置とは、高い精度で正確に目の長さを計測し、眼内レンズの度数を計算する器機です。光学式生体計測装置が開発される以前は、超音波眼軸長測定装置を使用して、目の長さを測定していました。この超音波眼軸長測定装置の目の長さの測定精度はそれほど高くなく、ときには眼内レンズの度数が目標と大きく異なることがありました。
しかし、近年開発された光学式生体計測装置はOCTの技術を利用して100分の1㎜ 単位でより正確に目の長さを測定することができます。特に現在最も先進的な眼内レンズである多焦点眼内レンズは、通常の単焦点眼内レンズに比べてさらに正確に度数決定をする必要があるため、多焦点眼内レンズを使う白内障手術を行うには光学式生体計測装置は必須の検査器機です。最新のOCT技術であるスウェプトソースOCTのテクノロジーを融合させたIOLマスター・モデル700やアルゴス(Argos)はそれまでの光学式生体計測装置では使用できない最先端の眼内レンズ計算式も採用されており、今までの器機よりもさらに正確な眼内レンズ度数計算が期待できます。
大宮七里眼科ではIOLマスター・モデル700やアルゴス(Argos)の両方を用いることによって、多焦点眼内レンズ術後の屈折値の予測精度を高めています。
白内障手術の進歩は、フェムトセカンドレーザー白内障手術の登場や、多焦点眼内レンズなどの眼内レンズの進歩のみならず、最先端の検査器機の開発によっても推し進められています。別の言い方をすると、最先端の白内障手術を行うには、以前から用いられている検査方法、検査器機では不十分であり、これらのような最先端の検査器機が不可欠です。
*以上、山﨑健一朗著「人生が変わる白内障手術・第二版」P144「最先端白内障手術は手術前検査も最先端検査機器なしにはできない」から抜粋、改訂
角膜の状態を細部まで計測できる前眼部3次元OCT(光干渉断層計)・
Casiaの技術について
前眼部3次元OCT(Casia、カシア)は、角膜の前面だけでなく後面も含めた全体の形状を精密に解析することで、通常のオートレフラクトメーターによる屈折検査よりもはるかに高い精度で乱視などの度数を計測できます。角膜の厚さを角膜すべての部位で測定することで、レーシックでは禁忌となる円錐角膜などの角膜疾患の鑑別もできます。角膜のみならず、虹彩までの距離、虹彩と角膜の角度など、前眼部全体の状態を調べることができるとても優れた検査です。
特に多焦点眼内レンズによる白内障手術の場合、術前検査として非常に有用な情報を得られます。白内障手術の術前検査としてだけでなく、レーシックの術前検査としても重要です。
大宮七里眼科では白内障手術の前に前眼部3次元OCT (Casia、カシア)を用いて、円錐角膜などの角膜の疾患の有無、乱視の度数の正確な測定、および乱視用眼内レンズの度数決定などに役立てています。
*以上、山﨑健一朗著「人生が変わる白内障手術・第二版」P144「最先端白内障手術は手術前検査も最先端検査機器なしにはできない」から抜粋、改訂