多焦点眼内レンズで
手元と遠くを見せる仕組み
現在、主流となっている回折型眼内レンズと呼ばれる多焦点眼内レンズ(老眼治療眼内レンズ)は、回折構造によって遠く、中間、近くの距離に焦点を合わせることができます。
(写真1)は、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズを比較するために並べた写真です。これらの眼内レンズの形、大きさは同じですが、目の中に入る光の通り道である光学部の構造に大きな違いがあります。写真左の単焦点眼内レンズには特別な構造はなく、単純な構造のレンズです。それに対して写真右の多焦点眼内レンズには同心円状の回折構造があるのがわかります。
このような回折型の多焦点眼内レンズでは、レンズの表面に同心円状の段差を作ることで、光を干渉させることで焦点を遠くや近くに分けます。
回折の段差の高さや幅を精密に制御することで、光の配分や焦点の距離を最適化しています。
たとえば、ここで使用しているクラレオン・パンオプティクスは、その回折構造によって、遠く・中間・近くの三段階に焦点が合うようにデザインされています。従来の2焦点の眼内レンズに中間距離用の焦点を持ち、パソコン作業などが便利になるように工夫されています。
クラレオン・パンオプティクスは、ハローやグレアといった光の現象が従来型より少なく、近くの距離にも十分な光配分がされていて見えやすいことから日本人にも適しており、現在では多焦点眼内レンズの中で、日本で最も多く選択されています。
(写真1)単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの構造の違い
左は単焦点眼内レンズ(アクリソフiQ)、右は多焦点眼内レンズ(クラレオン・パンオプティクス)。多焦点眼内レンズでは、単焦点眼内レンズにはない同心円状の回折構造がある。この回折構造によって遠く、中間、手元の全ての距離を見えるように工夫している。


