単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズ
白内障手術では濁った水晶体を取り除き、人工の水晶体である眼内レンズを挿入します。眼内レンズは白内障手術によって取り除いた水晶体の代わりとなるものです。白内障手術では眼内レンズを挿入しないと十分に見えないので、必ず眼内レンズを挿入します。
ただし、人間の目の水晶体は厚みを変化させてピントを合わせる機能がありますが、眼内レンズはそのように形を変えることはできません。もともと眼内レンズは一定の距離にしか合っていない単焦点眼内レンズしかなかったため、手術後もなんらかのメガネが必要でした。しかし近年開発された多焦点眼内レンズでは、広い範囲の距離にピントが合っています。
多焦点眼内レンズでは読書、裁縫、コンピューター作業、車のカーナビなど、さまざまな場面でメガネがなくとも焦点の合いやすい視力となり、豊かな生活を営むことができます。
<単焦点>ピントが合う距離が1つ
通常の多焦点レンズ
<多焦点>ピントが合う距離が複数
多焦点レンズ
単焦点眼内レンズの特徴
単焦点眼内レンズはピントが一定の距離にしか合っていません。通常は遠距離にピントを合わせるので、新聞や本、書類など手元の文字を読むときやコンピューター作業のときなど、ほとんどの場合にメガネ(老眼鏡)が必要となります。手元用のメガネをかけると遠くがぼやけてみえるので、遠くを見るときにはいちいちメガネをはずさなければいけません。もしくは手元も遠くもメガネが必要となることもあります。
例
遠距離にピントを合わせた単焦点眼内レンズの場合、画像のような見え方になります。遠くはよく見えますが手元を確認するには老眼鏡が必要です。
多焦点眼内レンズの特徴
- 多焦点眼内レンズによる白内障手術は自由診療です。
- 広い範囲の距離にピントが合っているので、眼鏡を使わなくても見える場面が多く、単焦点眼内レンズに比べて、より豊かな生活を営むことができます。
例
複数の距離にピントが合う多焦点眼内レンズの場合は、遠くも手元もよく見えます。 そのつど眼鏡をかけたり外したりという煩わしさがありません。
多焦点眼内レンズについて重要なポイントは、多焦点眼内レンズはただ単にメガネが要らなくなるレンズではないということです。
多焦点眼内レンズは常に複数の距離の情報を得ることにより、質の高い視覚情報をより多く得ることができます。
人間は常にまわりからの情報を得ることで生活しています。
その情報は視覚や聴覚、味覚、触覚などの感覚を、目や耳などの感覚器官で得ています。
人間の得る情報のうち、視覚情報は80%以上と言われています。
しかし単焦点眼内レンズではピントの合っていない距離が多いため、十分な視覚情報を得ることができません。
多焦点眼内レンズはより多くの距離にピントの合っているため、たくさんの視覚情報を同時に得ることが出来ます。
それによって多焦点眼内レンズはより豊かで便利な日常生活をすることができます。