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白内障にはどんな治療法がありますか?

local_offerよくわかる白内障

Q:目がかすむようになったので眼科を受診したところ、白内障だと診断されました。これからどんな治療を受けることになるのでしょうか?

A:視力がそれほど低下していない白内障の初期には、薬物療法で経過を見ることもあります。

白内障の薬には、点眼薬や内服薬がありますが、よく処方されるのはピレノキシンという点眼薬です。

水晶体の濁りの原因になるタンパク質の変性を防ぐ働きがあると言われている薬で、主な製品名はカタリン、カタリンK、カリーユニなどです。

また不溶性タンパク質ができるのを抑制するグルタチオンという点眼薬もよく使われますが、あくまでも進行を緩やかにする目的で使うもので、毎日点眼していれば視力が回復してよく見えるようになったりまぶしさが改善されるという効果は期待できません。

また白内障や目への効果をうたったサプリメントなども売られていますが、有用な予防法とはいえず、残念ながらそのような生活習慣上の努力で白内障の進行を止めたり水晶体の混濁を回復させることはできません。


Q:そうですか。手術は怖いので、ほかの治療方法はありますか?

A:ひと言で言うと、白内障は手術でしか治すことができません。

目の手術というと怖く感じるかもしれませんが、手術方法は確立していますし、レーザーなどの最先端技術の進歩によって、ますます患者さんの負担が少なく、安全性の高い手術になりました。

他の目の病気がなければ特に入院の必要もなく、当院では基本的に日帰り手術です。

遠方からの患者さんの場合は近くのホテルに1週間程滞在していただき、その間に3日程間を開けて両目の手術を行い、その後術後の経過なども確認して帰宅されるようにおすすめしています。

白内障手術で濁った水晶体の代わりに患者さんの目の中に挿入する眼内レンズは、患者さんの目に合わせた度数のものを選ぶので、通常は白内障を治療すると同時に近視や遠視、乱視なども矯正することができます。

眼内レンズには、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2つの種類があります。

単焦点眼内レンズはその名の通り手元から遠くまでのある一点のみがよく見えるレンズなので、ピントが合わない部分については眼鏡が必要になります。

一方で多焦点眼内レンズは、手元から遠くまでの広い範囲でピントが合うので、メガネを使用せずにアクティブな生活を楽しむことができます。

そのため、私のクリニックでおすすめしているのは、この多焦点眼内レンズです。遠くと近くを同時にはっきり見ることができると、より豊かで便利な日常生活を送ることができるようになります。

例えば車を運転中には遠くの信号と近くのカーナビを同時に確認できます。

手元の細かい字もはっきり見えるようになるので、老眼がなかった頃の目に戻ることができます。


Q:手術は、白内障がある程度進行してから受けるので問題ないでしょうか? いまのところ、見え方にそこまで支障があるわけではないのですが……

A:「手術はできるだけ避けたい、先延ばしにしたい」という患者さんもいらっしゃいます。

しかしタイミングが遅れて白内障が進行してしまうと、他の目の病気を併発したり、術後の合併症などのリスクも高まり、最悪の場合は失明の恐れもあります。

主治医とよく相談して適切な時期に手術することが大切です。

また「眼内レンズは20年経つと取り替えなければならないので、手術はなるべく高齢になってからの方がいいと聞いたのですが」とおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。

しかし手術後眼内レンズが劣化することはありませんし、品質や機能も一生使用する想定で作られています。

何より視力が回復することで、毎日の生活が大きく変わります。

安全な手術をベストなタイミングで受けて、新しい視界を手に入れて人生を楽しんでいただきたいと思います。


Q:手術が必要になる時期は症状でわかりますか?

A:一般的には、「日常生活に不便を感じるようになったら手術を」と言われていますが、白内障はゆっくり進むことが多いので、見えにくさが現れても自分では慣れてしまって気づかないこともあります。

左右の目で発症する時期が異なれば、片方の目の見えにくさをもう一方の目が補うので、視力低下は自分では意外にわからないものです。

水晶体が濁って視力が低下する加齢が原因の白内障は、高齢の人ほど多い病気です。

個人差はありますが60歳代頃から症状が出る人が多く、80歳を超えるとほとんどの人が白内障にかかっていると言われています。

どなたでもかかる可能性がある病気ですから、60歳頃になったら特に自覚症状がなくても一度眼科を受診し検査を受けておくと安心でしょう。

また高齢者だけでなく、若い方でも白内障にかかることがあります。例えばアトピー性皮膚炎は強い痒みが続く病気ですが、目のまわりや瞼の上の痒みを抑えるため手でたたくと水晶体へのダメージとなり外傷性の白内障を引き起こすことがあります。

また炎症を抑え痛みや痒みを改善するステロイド剤を長期間大量に服用していると、白内障を発症することがあります。

さらに糖尿病の合併症には糖尿病網膜症がよく知られていますが、高血糖によって進行する糖尿病白内障にも注意が必要です。

監修医師 山﨑 健一朗

院長紹介

院長資格

  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 日本で初めてフェムトセカンドレーザー白内障手術を開始
  • 2017年 著書「人生が変わる白内障手術」出版
  • 多焦点眼内レンズ使用症例を4,958件以上
  • フェムトセカンドレーザー白内障手術4,752件以上
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