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急に近くが見えないようになりました。目の病気でしょうか?

local_offerよくわかる白内障

Q:最近、急に視力が落ちたように感じます。特に手元がぼやけてよく見えません。二重、三重にだぶって見えることもあります。眼科を受診した方がいいでしょうか?

A:中高年の患者さんの見えにくさや目のかすみでまず考えられる疾患は、加齢による白内障の可能性があります。

近くがぼやけて小さな字などが読めないということだけなら、老眼が原因の場合もあります。


Q:白内障と老眼の違いはなんでしょうか?

A:老眼は、加齢により水晶体の弾力が衰えて、ピントを合わせる機能が低下することで起こります。

ただし水晶体の濁りはないために、メガネやコンタクトレンズなどを使ってピントを合わせれば視力を矯正することができます。

一方で、白内障の患者さんの場合は、水晶体の濁りがあるため外からの光が十分に入りません。

その結果見えにくさやまぶしさなどの症状が現れます。

元々近視がある患者さんは、白内障で水晶体の核が濁って硬くなり屈折率が増すために、より近視が強くなったように感じるケースがあります。

中年以降に近視がどんどん進むということはないので、白内障を発症していないか眼科を受診し、早めに検査を受けてください。


Q:白内障になると、どんな症状が現れますか?

A:加齢が原因の白内障はゆっくりと進行しますが、最も多い初期症状は、目のかすみです。

霧がかかったように物がかすんで見えます。

水晶体の濁りが進行すると、視力が落ちて手元の細かい文字なども読みにくくなります。

老眼鏡を使ってもこの見えにくさは解消しないのが特徴です。

「老眼だから遠くは見えるけど、近くは見えなくても仕方ない」とおっしゃっている患者さんが検査を受けたら白内障だったというケースも多いので、見え方に異常を感じたら要注意だといえます。

また、水晶体の濁りが目に入った光を乱反射するため、見え方にも変化が起こります。

具体的には、まぶしく感じひなたでは物が見えにくくなります。

逆光だと全く見えなくなるという方もいらっしゃいます。

さらに水晶体が濁っていると網膜に届く光の量が減るため、暗い場所でも見えにくくなります。

これまでは夕方の薄暗い部屋でも新聞が読めたのに最近文字が見えなくなったという場合は、白内障が原因かもしれません。

さらに物が二重、三重に見えることもあります。これは水晶体が濁って中心部と周辺で屈折率が違ってくるためです。


Q:多少見えにくくても、日常生活に支障がなければ病院に行く必要はありませんか?

A:視力低下は、白内障だけでなくさまざまな病気で起こります。

どのように見えにくいのか他の症状も考えながら原因を確認する必要があるので、必ず眼科を受診してください。

例えば加齢黄斑変性は、日本ではあまり知られていませんが、欧米では成人の失明原因一位の病気です。

網膜の中心の黄斑部が変性して視力が著しく低下するため日常生活への支障が大きくなります。

また視野が欠けたり目を閉じても閃光が見える光視症や黒い虫や雲が見える飛蚊症などの症状が起きるのが、網膜剥離です。

硝子体が委縮し網膜が剥がれる病気で、中高年は急速に進行することが多く、速やかな治療が必要です。

そして白内障も放置しておくと他の目の病気を合併したり、最悪の場合は失明したりする危険性もあるので、早めに診察を受けることが大切です。


Q:白内障は老化の一環というか、年を取れば誰でもかかるものなので、怖い病気ではないと思っていたのですが……

A:白内障は確かに高齢になれば誰にでも起きる病気で、70代では約8割、80歳を超えるとほぼすべての人に水晶体の濁りが見られると言われています。

しかし年を取れば誰でもかかるのだからといって、油断するのは大変危険です。

水晶体が真っ白になるまで進行した白内障では、水晶体が溶け出して強い炎症を起こすことがあります。

これを水晶体融解性ぶどう膜炎といい、激しい痛みや充血を伴い、緊急手術が必要になります。

また手術が成功しても癒着や混濁などの後遺症が残ることもあります。

白内障が進行すると水晶体がだんだん膨らんでくるため、眼圧が一気に上昇し急性緑内障発作を起こすことがあります。

急性緑内障は、突然の頭痛や激しい目の痛み、吐き気、腹痛、視力低下などが起き、緊急手術を行わないと数日以内に失明にいたる恐ろしい病気です。

白内障を放置しておくと失明を引き起こす病気を合併するリスクがあるため、必ず眼科を受診し、進行の状態にあった治療を受けることが重要です。

白内障は安全性の高い手術で視力を取り戻すことができますが、進行していればその分手術の難易度は上がります。

水晶体は年齢とともに硬くなっていくので、手術で濁った水晶体を粉砕する工程も難しくなり、トラブルが起きるリスクも上がります。

そして何よりも白内障による見えにくさは生活の質に大きく影響します。

視界がぼやけていては転倒による骨折の恐れなどもありますし、何歳になっても生き生きと活動的な毎日を過ごすためには、白内障を治療し視力を取り戻すことをおすすめします。

監修医師 山﨑 健一朗

院長紹介

院長資格

  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 日本で初めてフェムトセカンドレーザー白内障手術を開始
  • 2017年 著書「人生が変わる白内障手術」出版
  • 多焦点眼内レンズ使用症例を4,958件以上
  • フェムトセカンドレーザー白内障手術4,752件以上
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