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黒目の濁りが気になります。目の病気でしょうか?

Q:鏡を見て、黒目が白く濁っているのに気がつきました。何か悪い病気ではないかと心配です。物が見えにくいなど日常生活に困るような症状はないのですが、このまま様子をみても大丈夫でしょうか?

A:黒目が白くなっているが他には特に症状がないようなら、最も考えられる病気は初期の白内障です。

白内障は、眼球内にある水晶体が白く濁り、進行すると視力が低下する病気です。

加齢による水晶体の変性が主な原因ですが、先天的なものや外傷、アトピー性皮膚炎、紫外線の刺激などによって引き起こされる場合もあります。

目のしくみはよくカメラに例えられますが、そのレンズに当たるのが水晶体です。

水晶体はタンパク質と水分でできた組織で、正常な水晶体は無色透明です。

しかし何らかの原因で水晶体のタンパク質が変性し濁ってくることがあり、これが白内障です。

水晶体が濁ると外からの光が充分に入らなくなるため、物がぼやけて見えにくくなったりまぶしく感じるなどの症状が現れます。


Q:白内障以外の病気の可能性も考えられますか?

A:水晶体でなく硝子体に原因があり、目の濁りが起きている場合もあります。

硝子体は、水晶体の奥にあるほぼ無色透明な組織ですが、硝子体混濁といってその名のとおり硝子体が濁った状態になることがあります。

これは、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症など硝子体出血を起こす病気や、ぶどう膜炎、眼内炎など硝子体内に出血や炎症、感染症を起こす病気が主な原因となります。

発症すると、視界のかすみや視力低下だけでなく、虫が飛んでいるように見える飛蚊症と呼ばれる症状が現れるのが特徴です。

さらに角膜の外傷や炎症などによる角膜炎が原因で、本来は透明である角膜に異常な組織が作られ、白い斑点のような濁りを引き起こすこともあります。

スマートフォンやパソコンなどの長時間使用によるドライアイが原因で角膜に傷がついている方も増えていますから、注意が必要です。

このように目の濁りにはさまざまな原因がありますが、いずれにせよ眼科を受診して検査を受け、早めの対処をすることが大切です。


Q:白内障だった場合、一度濁った水晶体は、元に戻ることはないのですか?

A:個人差はありますが、どなたでも年齢とともに水晶体は濁っていきます。

この濁りは残念ながら元に戻すことはできませんが、進み方や症状の現れ方は人によって違います。

さらに水晶体の濁り始める部位によっても症状は異なります。

最も多く見られるのが、水晶体の周辺部分から濁り始めるタイプです。

このタイプの場合、最初は薄暗いときに見えにくくなり、濁りが広がって進行すると、まぶしく感じたり物がかすんで見えるようになります。

また、強い近視の人は、水晶体の中心から濁るケースがあります。

その場合は水晶体の屈折率が強くなるためより近視が強くなったり物が二重に見えたり、強いまぶしさを感じたりといった症状が現れます。

その他水晶体の後ろ側から濁ってくるタイプなどもありますが、どのタイプでも水晶体の濁りが進むと目のかすみが強くなり、視力も低下します。


Q:白内障にはどんな治療法がありますか?

A:白内障と診断されても、視力の低下がなく日常生活に支障がなければ、経過観察でしばらく様子をみることもあります。

また進行を遅らせるために点眼薬や内服薬が処方される場合もあります。

ただし白内障の薬では、水晶体の濁りが解消させるわけではなく、根本的に治すためには手術が必要になります。

患者さんが見え方に異常を感じるなど、日常生活に不便を感じるようになったときが手術すべきタイミングなのですが、白内障が進行すると他の目の病気を併発するリスクもあるので、当院では早めの手術をおすすめしています。


Q:白内障手術とはどんな手術をするのですか?

A:白内障手術の目的は、濁った水晶体を取り除き人工レンズに交換することです。

目の手術というと怖く感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、白内障の手術は手術方法と人工レンズの進歩で、短時間で行える安全性の高い手術になりました。

手術方法はいくつかありますが、現在主に行われているのは、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し人工レンズを入れる超音波乳化吸引術という方法です。

手術そのものは10~15分で終了し、手術室に入っている時間も30分~1時間程度です。

その後30分ほど安静にしていれば歩けるようになり、他に目の病気などがなければ日帰り手術が一般的です。

白内障の症状が進行している場合は、他の手術法を行います。

水晶体が硬くなり超音波で砕けない、または他の目の病気との合併症があるケースは、水晶体を砕かずそのまま取り出して人工レンズと交換する水晶体嚢外摘出術を行います。

また水晶体を支えている線維が弱って超音波に耐えられない場合などは、水晶体と水晶体を包んでいる水晶体嚢という透明な袋の全てを取り除く水晶体嚢摘出術を行うこともあります。

症状は片方の目にしか出ていなくても、白内障手術は両目とも行うのが基本です。まず進行が早い側の目の手術を先に行い、日をあらためてもう一方の手術を行います。

監修医師 山﨑 健一朗

院長紹介

院長資格

  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 日本で初めてフェムトセカンドレーザー白内障手術を開始
  • 2017年 著書「人生が変わる白内障手術」出版
  • 多焦点眼内レンズ使用症例を4,958件以上
  • フェムトセカンドレーザー白内障手術4,752件以上
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