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白内障手術で多焦点眼内レンズが向かない人はいますか?

local_offerよくわかる白内障

Q:多焦点眼内レンズは、遠くも近くも見えるようになりメガネ不要の生活を送れるなどメリットの多いレンズだと聞きました。
しかし、向かない人もいるのでしょうか? 希望しても多焦点眼内レンズが適用にならない場合もありますか?

A:当院でも多焦点眼内レンズを希望されても、おすすめしない患者さまはいます。
他の目の病気がある方です。
目の病気ですが、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性などで網膜に病変がある方、進行した緑内障の方には多焦点眼内レンズではなく単焦点眼内レンズをおすすめすることがあります。
これらの疾患があると、コントラスト感度が低下します。
コントラストとは明暗の対比のことで、コントラスト感度の低下により、暗い場所で手元が見えにくくなることです。
こういった状態の目の患者さまに多焦点眼内レンズを入れてもレンズのメリットが生かされない可能性があります。
しかし疾患の進行の程度によっては多焦点眼内レンズが適応になるケースもあるので、眼科医にご相談ください。
また強い不正乱視がある場合も、多焦点眼内レンズをおすすめしないことがあります。
乱視とは、角膜の歪みにより物を見るときに焦点が1か所に集まらない状態のことです。
乱視には角膜の歪みが規則的である正乱視と不規則な不正乱視があり、大多数は正乱視です。
正乱視は乱視矯正ができるタイプの多焦点眼内レンズを入れれば、白内障と一緒に乱視も治療することができます。
重症の円錐角膜の場合には強い不正乱視になるため、多焦点眼内レンズをおすすめしない場合があります。


Q:白内障手術の前には、他に目の病気がないか精密検査を受ける必要がありますね。 では多焦点眼内レンズが向かない仕事とはどんな職業ですか?

A:多焦点眼内レンズによる白内障手術の直後は、夜間、街の明かりや車、オートバイなどのヘッドライトのまわりに光の輪やにじみが見えることがあります。
これらはハロー、グレア現象というのですが、単焦点眼内レンズより多焦点眼内レンズで起こりやすい傾向です。
しかし、ハローやグレアは時間の経過とともに気にならないレベルまで改善されることが多いです。
また、ハローやグレアが起こりにくい工夫をされた多焦点眼内レンズも登場していますので、運転するから多焦点眼内レンズはだめと決めずに、眼科医に相談することをおすすめします。
夜間を専門で走るタクシードライバーを20名以上、多焦点眼内レンズの手術をしましたが、ハロー、グレアは大きな問題にはなっていません。
むしろ遠くと近くに加えて、ちょうどカーナビの位置にピントが合う3焦点の多焦点眼内レンズは運転もしやすくなります。
眼内レンズの特徴をよく比較したうえで、多焦点眼内レンズを入れるか単焦点眼内レンズを選ぶか決めていただくことをおすすめします。


Q:他にも多焦点眼内レンズが向かない仕事はありますか?

A:ありません。
白内障になるとコントラスト感度が下がって微妙な色の違いが見分けにくくなるため、色の見極めが必要な職業の方には、積極的におすすめします。


Q:見え方の希望が合わないのはどういう場合ですか?

A:複数の距離にピントが合う多焦点眼内レンズを入れると術前に比べて見え方は大きく改善しますが、水晶体を調節して物を見ていた白内障になる前の見え方と全く同じというわけではありません。
若い頃と同じ目に戻るわけではないことをご理解いただきたいと思います。
また術後すぐはまぶしさや見えにくさなどを感じる場合もあります。
白内障手術で入れる眼内レンズは、患者さまの目の状態やライフスタイル、職業、見え方のご希望などをよく検討したうえで選ぶ必要があります。
当院では患者さまお一人おひとりに最も合った眼内レンズをご提案していますので、どうぞお気軽にご相談ください。

監修医師 山﨑 健一朗

院長紹介

院長資格

  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 日本で初めてフェムトセカンドレーザー白内障手術を開始
  • 2017年 著書「人生が変わる白内障手術」出版
  • 多焦点眼内レンズ使用症例を4,958件以上
  • フェムトセカンドレーザー白内障手術4,752件以上
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