コロナの感染症のため、病院への「受診控え」をしている方が増えていることが報じられています。
例えば心筋梗塞の患者の数がコロナ感染症の時期には減っていたそうです。これはもちろん心筋梗塞の患者数が減ったわけではなく、軽い症状があっても病院を受診しなかったことが原因と考えられています。
眼科の領域においても同様のことが起こっており、視力低下などの症状が軽い場合に眼科の受診を控えている方が多くおられると言われています。
全ての病気において治療のタイミングと言うのは非常に重要で、軽症のうちに治療を開始すれば完治する疾患であっても、中等症から重症と進むにつれて治療が困難になったり、治療しても後遺症が残ることがあります。
白内障についても同様のことが言えます。
白内障は手術で完治する病気ですが、白内障が進行すると目の組織にダメージを残すことがあります。
私ども眼科医療の現場で直接患者様と接する医療従事者としての感覚では、コロナ感染により白内障が重症になってから受診する方が増えた印象があります。
またこのことは糖尿病に関してはもっと顕著です。 なぜなら糖尿病の網膜症は初期から中等症では全く症状がなく、重症になってからやっと症状が出てくるからです。またコロナ感染症のために糖尿病の方々が内科への受診控えをした結果、糖尿病網膜症の原因となる糖尿病の血糖コントロールが悪化している方が多く見られます。
糖尿病網膜症は初期では網膜へのレーザー治療やルセンティス、アイリーア、ベオビュなどのVEGF阻害剤の硝子体内注射などの治療により高い治療効果を得ることができますが、進行すると増殖性糖尿病網膜症となって硝子体手術が必要となったり、治療困難な血管新生緑内障になることがあります。
このようなことにならないよう、 視力低下、まぶしい、手元が見えない、夜の車の運転が見づらいなどの症状がある方は、早めに眼科受診をすることを強くお勧めします。