Q:白内障手術は15分程度で終わり入院の必要もないそうですが、術後どのくらい経てばアルコールを飲んでも大丈夫でしょうか。その他にも術後の生活で注意することはありますか?
A:術後1週間は、飲酒を控えてください。
白内障手術は傷口を作っているので、細菌に感染する恐れが一番怖いです。
アルコールを飲むと細菌感染のリスクが上がると考えられるため、1週間は控えてください。
白内障手術が終わってほっとして乾杯したくなる方も多いでしょう。
食事制限等はありませんので、手術当日から何を召し上がっていただいても問題ありません。
Q:入浴やシャワーなどはどうでしょうか?
A:首から下のシャワーであれば手術当日あるいは翌日から可能ですが、洗髪や洗顔は1週間程度避けてください。
それはお湯を浴びることで目に細菌が入ってしまうおそれがあるためです。
白内障の手術後、注意が必要な合併症の1つに細菌性眼内炎という感染症があります。
これは手術でできた傷口から細菌が眼内に入り強い炎症を起こすものです。
術後1週間以内はまだ完全に傷が閉じていないので、不必要に目を触ったり、濡らしたりすると、細菌の侵入や増殖が起きやすくなります。
細菌性眼内炎にかかると視力の急激な低下や目の痛み、充血などが起き、重症になると失明につながる場合もあります。
手術前と手術後には細菌性眼内炎を防ぐ抗生物質の点眼薬が処方されますから、きちんと使いましょう。
また眼帯や保護メガネなども医師の指示をまもって使用してください。
細菌性眼内炎は確かに怖い合併症ですが、発症は非常にまれですし、感染対策をきちんと行なっていればかかるリスクはほとんどないので、心配はいりません。
現在では小さな傷口で白内障手術が行えるようになったため、感染のおそれも少なくなりました。
以前は角膜の傷口が5~6mm程度になることが一般的で、術後の感染の早期発見のため白内障手術は現在のような日帰りではなく入院が必要となっていました。
今では約半分の大きさの傷口で手術が可能となり、当院では2.3mm程度の切開で手術を行っています。
Q:化粧についてはどうでしょうか? 手術後どのくらい経ったら化粧をしても大丈夫ですか?
A:お化粧も術後1週間程度は控えてください。
お化粧するとどうしても粉などが目の中に入りやすくなりますし、目のまわりに触れることも増えるので、細菌が入りやすくなり目に負担がかかります。
仕事や外出などで人に会うので早くお化粧をしたいという患者さんは少なくないのですが、白内障手術でできた傷口がふさがる約1週間後までは避けてください。
Q:他に術後の生活で気をつけることはありますか?
A:手術当日は、そのまま帰宅しゆっくりお休みください。
翌日からは簡単な家事や近所へのお買い物や散歩程度などならいつもと同じようにしていただいて構いません。
しかし重いものを持つような家事や仕事、汗ばむようなスポーツなどは、傷口に悪影響を及ぼす可能性があるので、1週間程度は避けてください。
お仕事はデスクワークでしたら、3日後から再開していただいてかまいません。
車の運転についてもよく患者さんに質問されるのですが、多焦点眼内レンズの術後は、1週間経過してからにしてください。
多焦点眼内レンズの手術直後は、車、オートバイなどのヘッドライトのまわりに光の輪が見えるハローという現象や、街の灯りがにじんで見えるグレアという現象が起きることがあります。
ハローやグレアは、白内障手術で挿入した眼内レンズの影響により起こるのですが、一定の距離にだけピントが合う単焦点眼内レンズより、広い範囲に焦点が合う多焦点眼内レンズの方が起こりやすい傾向があります。
しかしハローもグレアも手術後時間が経つにしたがって徐々に軽減し、個人差はありますが3か月から1年ほどであまり気にならなくなる方がほとんどです。
また現在多くの白内障手術で使われているパンオプティクスという3焦点の多焦点眼内レンズは、ハロー・グレアが発生しにくいように工夫されていますので、夜間に車を運転することが多い方には特におすすめします。
濁った水晶体を取り出して人工の眼内レンズに置き換える白内障手術では傷口ができるので、アルコールや入浴、シャワー、洗顔、洗髪、お化粧など、傷口がふさがるまでは控えていただく必要があります。
当院では術後の過ごし方や注意点などもお一人お一人のライフスタイルやお仕事の内容などに合わせてアドバイスしています。