Q:白内障手術を受けるのは、何歳頃がいいのでしょうか?実際に手術を受けている人はどのくらいの年齢の方が多いのですか?
A:白内障手術の患者さんは60〜70歳代が多いのですが、すべての方にとってそれがベストのタイミングというわけではありません。
白内障は目の中でレンズの役割を果たしている水晶体が濁る病気です。
これは水晶体を構成しているタンパク質が加齢などにより変性することで起こります。
つまり加齢にともなう現象なので、一部の人だけでなくすべての人に起こります。
発症する年齢には個人差がありますが、加齢性白内障は中年以上であればいつ発症しても不思議ではありません。
そして60代になると約6割が白内障になっていると言われています。
また数は少ないのですが、アトピー性皮膚炎や多量のステロイド剤の使用、糖尿病、外傷などが原因で、比較的若い方でも白内障を発症することがあります。
その場合は目の状態に合わせて、適切な時期に手術を行うことになります。
Q:高齢者の病気という印象がある白内障ですが、50歳頃から発症している可能性があるのですね。白内障になるとどのような自覚症状が現れるのでしょうか?
A:白内障の自覚症状にはさまざまなものがありますが、患者さんからよくお聞きするのはまぶしさです。
例えばベランダで洗濯した白いシーツを干そうと広げたら目がくらむほどまぶしかった。
対向車のライトがとてもまぶしく感じて夜間の運転がしにくくなった。
まぶしさが気になってゴルフ場でプレーしにくくなった。
そんな違和感を感じるようになったら白内障を発症している可能性があります。
白内障になると変性したタンパク質が水晶体の中に蓄積していきますが、初期の頃は変性して濁っている部分と正常で透明な部分が混在していて、水晶体はまだらな状態になっています。
そこを光が通ると乱反射するので、強いまぶしさを感じるようになるのです。
その他にも代表的な症状として視力低下がありますが、白内障ではなく老眼のせいだと思っていらっしゃる方が少なくありません。
Q:白内障の見えにくさと老眼による見えにくさは、どう違うのですか?
A:見え方が変化して不便になっても、その原因が老眼にあるのか白内障なのか、もしくは他の目の病気のためなのかご自分で判断することは難しいです。
見えにくさを感じるようになったら早めに眼科を受診しましょう。
ただし老眼の症状は一般的に40代から始まり、60歳頃で止まります。
ですから60歳を過ぎてからさらに見えにくくなったという場合は老眼が進んだのではなく、白内障が原因の場合があります。
見えにくくなったので老眼鏡を作りかえたけれどあまりよく見えないという方も多いです。
この場合も老眼鏡の度数が合っていないのではなく、白内障により水晶体が濁っているためと考えられます。
年だから、老眼だから仕方ないと自己判断せず、眼科を受診して白内障の検査を受けることをおすすめします。
Q:白内障になっていても気づいていないケースも多いのですね。では白内障の手術は何歳くらいまで受けられるのでしょうか? 年齢制限はありますか?
A:白内障手術に年齢制限はありません。
手術自体は一般的に15分から20分程度で終わりますし、入院の必要もなく日帰りで行えるので、ご高齢の方にも特に負担になる心配はないでしょう。
しかし高齢になればなるほど白内障は進行し重症化しています。
水晶体が濁っているだけでなく硬化が進んでしまう場合もあります。
白内障が進行し水晶体が硬くなっていると、手術で目に負担がかかりやすくなり、水晶体を取り出すための傷口も大きくなるので、術後の感染症のリスクも高まります。
他の病気と同じように白内障も早期発見、早期治療が基本です。
Q:私は以前レーシック手術を受けたことがあるのですが、白内障の手術は受けられるでしょうか?
A:レーシック手術を受けている方も基本的には白内障手術を受けることができます。
レーシック手術を受けている目は、角膜の厚みをレーザーで削るなどの処置を受けています。
一般的に白内障手術で挿入する眼内レンズの度数は角膜の厚みが一定であることを前提に計算するので、レーシックを受けた患者さんの場合はそのままでは眼内レンズの度数を正確に設定することができません。
レーシック手術を受けた目に適切な眼内レンズを選ぶための専門的知識がある医療機関はまだ少ないので、白内障手術を受ける病院を選ぶときにはレーシック後の白内障手術の実績がある病院かどうかを確認するようにしてください。
当院ではレーシック手術を受けた方にも多少点眼内レンズの手術を多数行っております。