Q:片方の目だけ白内障になりました。片目だけ白内障手術を受けて、多焦点眼内レンズを入れることはできますか?
A:片目だけ濁った水晶体を取り除いて多焦点眼内レンズを入れる手術自体は可能です。
しかし特殊な場合を除いて、多焦点眼内レンズは両目に使用することをおすすめします。
Q:白内障になっているのは片目だけなのに、なぜ両目とも手術して多焦点眼内レンズを入れる必要があるのですか?
A:実際に診療してみると、もう片方の目も白内障になっていることが多いです。
白内障には60代の約6割、80代になればほぼ全員が罹患すると言われ、50歳以上ならいつ発症しても不思議ではありません。
片目ずつ見え方を確認してみると、「見えにくいのは片方だけだから」とおっしゃる患者さまもいらっしゃいます。
しかし白内障はゆっくりと進行します。
若い頃どのくらい見えたかは皆さん忘れていますから、見えていると思っている方の目の視力もかなり落ちていることが多いです。
つまり自分では片目だけ見えにくいと思っていても、中高年は両目とも白内障になっている可能性が高いです。
片目だけ白内障が進んでいても、日常生活に支障は出ていないケースは非常に多いです。
Q:はい。今はそれほど困っていることはありませんが、山﨑院長は、今後どうなると予想されますか?
A:今は見え方のいい方の目がもう一方をカバーしている状態と考えられます。
しかしその目の視力が落ちてくるとカバーしきれなくなるため、急にぼやけて見えにくくなるという自覚症状が出る可能性があります。
白内障の進行は一人ひとり違いますが、左右の目で進み方に差がある患者さまも多いです。
片目の白内障が進んで視力が大きく低下していても自覚症状がなく、日常生活が普通におくれている場合もあります。
物が見えるのは目で得た光の信号が、脳に送られ情報として認識される仕組みです。
通常は両方の目から送られてくる情報が統合されています。
しかし片目が見えにくい場合は、見えている目の情報だけで処理されます。
この時、本人は片目だけの情報だという自覚はありません。
ですから、片方の目がよく見えなくても違和感なく日常生活が送れるのです。
このように視力が落ちていない方の目でカバーされると、もう一方の目の白内障が進行していてもなかなか気づかないこともあります。
自覚症状もないうちにかなり重症の白内障になっていることも少なくありませんから、60歳を過ぎたらすべての方に眼科を受診して白内障検診を受けるようにおすすめしています。
Q:片目だけ白内障が発症することもありますか?
A:高齢者に比べれば少ないのですが、外傷、全身性疾患、あるいは原因不明の要因で若い世代で片目だけ白内障を発症する場合があります。
白内障が進行している目だけ、多焦点眼内レンズを入れる手術を行うこともできます。
3焦点の眼内レンズを若い人におすすめします。
3焦点の眼内レンズを入れた場合なら、遠方と手元と中間距離にピントが合うようになりますので、手術しない方の目と違和感がほとんどありません。
手術してない目の状態に合わせてコンタクトレンズやメガネを使用することは可能です。
手術していない眼が老眼鏡を使う必要がある方は、老眼も治りますから、もう片目も多少点眼内レンズを入れる手術をした方がよいと思います。
まだまだ老眼になっていない若い世代はもう片目を手術する必要なないです。
Q:私の場合は年齢的に両方の目の手術を検討した方がよさそうです。
両目の場合、手術はどんなスケジュールで行うのでしょうか?
A:両目の手術は基本的に同時期に行うことが望ましいです。
当院では、全ての白内障手術を日帰りで行っていますが、合併症などが起きていないことを十分に確認するため、両目の手術は通常3日程空けています。
遠方から来られる患者さまには、クリニック近くのホテルに1週間程滞在していただき、両目の手術と術後の経過観察を行っています。
白内障手術は、その方の目の状態によって適切な時期が違います。
専門医に相談のうえ、ご自身に最もあった手術の時期を選んでください。