Q:白内障手術の後に後悔しないために、術前に知っておいた方がいいことは?
A:白内障手術を受ける前の注意点はいくつかありますが、まず眼内レンズの特徴を理解しておく必要があります。
眼内レンズには、一定の距離にしかピントが合わない単焦点眼内レンズと、幅広い範囲の距離にピントが合う多焦点眼内レンズがあります。
多焦点眼内レンズはあらゆる生活の場面でものや文字が見やすくなり、生活の質が向上する画期的な眼内レンズですが、現在はまだごく一部の病院でしか扱っていません。
また、白内障手術方法も進化をしており、現在はフェムトセカンドレーザー白内障手術(レーザー白内障手術とも呼びます)と言う、精度の高い切開を行なったり、人の手による手術ではできない工程を行うことができる手術方法もあります。
白内障手術で後悔しないためには、多焦点眼内レンズやフェムトセカンドレーザー白内障手術について知識を得たり、これらを行なっている病院を事前に調べる必要があります。それらを知らずに白内障手術を受けると後悔につながる可能性があります。
Q:白内障手術を受ける病院選びの基準とは?
A:白内障手術を受ける場合、多焦点眼内レンズやフェムトセカンドレーザー白内障手術を行なっている眼科のうち、それらの実績が多い眼科を選ぶべきと考えます。
ほとんどの眼科は保険診療による白内障手術しか行っておらず、多焦点眼内レンズやフェムトセカンドレーザー白内障手術はほとんど行なっていません。
多焦点眼内レンズやフェムトセカンドレーザー白内障手術は、最先端の白内障手術に力を入れている眼科クリニックでしか行なっていません。
多焦点眼内レンズの中でも、従来は多焦点眼内レンズは2焦点しかありませんでしたが、現在は3焦点眼内レンズが開発されました。
2焦点だと一般的に遠くと手元にピントを合わせますが、3焦点だとさらに中間距離にもピントを合わせることができます。
中間距離とは目の前から60〜100センチくらいの位置です。この範囲にピントが合うと、日常生活はさらに快適になります。
例えば書類を見ながらパソコンで仕事をする場合のことを考えてみましょう。
手元の書類の位置は近距離ですが、パソコンのモニターは中間距離になります。
3焦点眼内レンズでは手元の書類を見ながら、中間距離のパソコン画面も見ることができます。
趣味でピアノを弾く方の場合も鍵盤は近距離ですか、譜面台は中間距離です。
3焦点の多焦点眼内レンズなら、運転しているときも遠くの標識と中間距離のカーナビの両方にピントが合います。
従って、大宮七里眼科では2023年3月現在は2焦点眼内レンズは扱っておらず、3焦点眼内レンズしか扱っていません。
このように、多焦点眼内レンズも進化をしています。
長年多焦点眼内レンズの手術を行ってきた症例数の多い病院なら、眼内レンズについての知識も豊富です。
Q:多焦点眼内レンズによる白内障手術にはどんな手術方法を選ぶべきか?
A:現在は医師の手と目によるマニュアル手術だけでなく、コンピュータとレーザーを用いたフェムトセカンドレーザー手術という方法があります。
正確な固定が必要となる多焦点眼内レンズには、フェムトセカンドレーザー手術で行うことが理想です。
多焦点眼内レンズは外から入ってくる光を振り分けることで複数の範囲にピントが合う構造のため、単焦点眼内レンズよりも複雑な仕組みになっています。
そのため多焦点眼内レンズを使用した白内障手術では、より精度の高い手術技術が必要となります。
医師の手技による手術では全ての工程を医師の目測や経験値に頼ることになります。そのため不正確となることもありました。
しかしフェムトセカンドレーザー手術なら眼内レンズの固定の位置や傾きがより正確になるため、多焦点眼内レンズのメリットを最大限に発揮することができます。
また濁った水晶体を取り出して眼内レンズを挿入する部分も、マニュアル手術の場合は医師が金属のメスで切開します。
フェムトセカンドレーザー白内障手術の場合は、メスの代わりにレーザーで切開するので基本的にメスは使いません。
フェムトセカンドレーザー白内障手術では、レーザーで水晶体を破砕することで手術で使用する超音波を少なくすることができ、角膜内皮細胞減少などの合併症などのリスクが低くなります。
多焦点眼内レンズを入れる白内障手術は、フェムトセカンドレーザー白内障手術を行っている病院で受けることをおすすめします。
Q:多焦点眼内レンズによる白内障手術を受けて後悔することはあるか?
A:視力は眼球の質だけで決まるわけではありません。
眼球に入ってきた光は網膜で電気信号となり、視神経から脳に信号が伝わり、脳で信号を解析することで視覚となります。
加齢に伴い、水晶体以外の眼球のあらゆる部分の機能が低下していきますが、視神経や脳など目以外の部分の質も加齢の影響を受けます。
白内障手術は目の中の水晶体だけを変える手術なので、視神経や脳は改善するわけではありません。
従って白内障手術を受けても若い時の見えかたにはならないということはありえます。
しかし白内障手術では濁った水晶体を綺麗な眼内レンズに置き換えるわけですから、若い頃の見え方に戻らなくても手術を受けて後悔する理由にはなりません。
また、多焦点眼内レンズについて十分に理解をして手術を受けることが重要です。
若いころの水晶体の厚みやカーブを変えて様々な距離にピントを合わせていた見え方と、複数の範囲にピントが合うように設計されている多焦点眼内レンズの見え方は、全く同じではありません。
しかし多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズよりも焦点の距離に幅があり、より生活が便利になることは間違いありません。
従って多焦点眼内レンズについて理解していただいた上で、納得して手術を受けていただければ、後悔することはないと考えています。
また白内障手術の後すぐは、まぶしさや違和感などを感じることもありますが、通常は徐々に慣れていき3か月程経つと気にならないレベルまで改善します。
白内障手術は患者さまが新しい目を手に入れる手術です。
後悔のない手術となるよう、眼内レンズ選びから手術方法、手術する病院まで充分に検討していただきたいと思います。
大宮七里眼科は多焦点眼内レンズによる白内障手術を2008年から行い、症例も4000件以上と豊富です。
どうぞお気軽にご相談ください。
Q:多焦点眼内レンズが向かない人はいるか?
A:多焦点眼内レンズは、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症のような網膜疾患、あるいは緑内障などの視神経の疾患、ぶどう膜炎などの炎症性の疾患に対しては、重症で視力の改善が期待できない場合にはおすすめできないことがあります、
ただしこれらの疾患があっても軽症の場合には適応となります。
また現在ではそれらの疾患があっても使用できる多焦点眼内レンズも開発されています。
それぞれの場合によって異なりますので、大宮七里眼科のような多焦点眼内レンズの使用経験の豊富な眼科で相談してください。