多焦点眼内レンズを用いた白内障手術
院長 山﨑 健一朗
院長プロフィール
- 日本眼科学会認定 眼科専門医
- 日本で初めてフェムトセカンドレーザー
白内障手術を開始 - 2017年 著書「人生が変わる白内障手術」出版
- 多焦点眼内レンズ使用症例を4,958件以上
- フェムトセカンドレーザー白内障手術4,752件以上
白内障の影響で日常生活にお困りの方は多いのではないでしょうか。多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、そんな白内障患者さまの生活を大きく改善する可能性のある治療法です。
この記事では、多焦点眼内レンズの特徴や利点、期待される効果について詳しく解説するとともに、手術実施の要件などについてもわかりやすくお伝えします。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、白内障の治療と同時に遠方視と近方視の両方の視力改善を目指す手術方法です。従来の単焦点眼内レンズでは近方視か遠方視のどちらかに特化していましたが、多焦点眼内レンズを使用することで、遠くも近くも見えるようになることが期待できます。
多焦点眼内レンズの特徴
多焦点眼内レンズは、レンズ表面に特殊な構造を持っています。この構造により、光を遠方視用と近方視用に分割し、焦点を分けることができるのです。これにより、遠くを見るときと近くを見るときの両方で、視界が明瞭になります。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の利点
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の最大の利点は、遠方視と近方視の両方の視力を同時に改善できる点です。従来の単焦点眼内レンズでは、遠くは見えるようになっても、近くを見るためには眼鏡が必要、もしくは近くは見えるようになっても遠くを見るためには眼鏡が必要となっていました。しかし、多焦点眼内レンズなら、メガネなしで、基本的に遠くも近くも見えるようになるのです。
多焦点眼内レンズが適するケース
多焦点眼内レンズは、全ての白内障患者に適しているわけではありません。特に、以下のような条件に当てはまる方は、多焦点眼内レンズの良い適応と言えるでしょう。
- 遠方視と近方視の両方の視力改善を強く希望している
- 老眼鏡やコンタクトレンズを使用したくない
- 暗いところでの見え方にあまりこだわりがない
一方で、夜間の運転が多い方や、暗所での視力を重視する職業の方などは、多焦点眼内レンズよりも単焦点眼内レンズの方が適している場合があります。手術を受ける前に、自分のライフスタイルや希望をよく考え、眼科医とよく相談することが大切です。
多焦点眼内レンズの種類
多焦点眼内レンズには様々な種類のレンズがあります。それぞれのレンズに長所・短所があり、自分の目の状態やライフスタイルに合った眼内レンズを選択する事が大切です。最良の眼内レンズを選択をするには、正しい情報を元に判断する事が大切です。多焦点眼内レンズは日進月歩で進化しています。単焦点眼内レンズだけではなく多焦点眼内レンズにも精通した医師の診察を受けてよく相談する事が、数ある眼内レンズの中から最も適した眼内レンズを選択するには欠かせません。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の注意事項
白内障手術に多焦点眼内レンズを使用することで、単焦点眼内レンズより広い範囲で明瞭な視力を得られるようになります。しかし、その効果を最大限に生かすためには、いくつかの注意事項について理解しておく必要があります。
術後のグレア・ハロー症状とその対処法
多焦点眼内レンズを使用した白内障手術後、一時的にグレアやハロー症状が現れることがあります。これらの症状について理解を深めましょう。
グレアとは、明るい光源を見た際に感じるまぶしさや不快感のことを指します。一方、ハローは光源の周りに輪っかのような光が見える現象です。これらの症状は、多焦点眼内レンズの構造に起因するもので、術後しばらくの間は多くの患者さんが経験します。
グレアやハローへの対処法としては、サングラスの着用や明るすぎる環境の回避が有効です。また、夜間の運転など、眩しい光源に長時間さらされる状況は避けましょう。これらの症状は時間とともに軽減していきますが、もし不安を感じられた場合は、遠慮なく担当医にご相談ください。
コントラスト感度の低下と見え方の変化
多焦点眼内レンズ挿入後、コントラスト感度の低下を感じる方がいらっしゃいます。ここではその原因と見え方の変化について説明します。
コントラスト感度とは、物体の明暗の差を識別する能力のことで、単焦点レンズと比較すると多焦点レンズではやや低下する傾向にあります。これは、多焦点レンズが光を分割して異なる焦点に導くため、網膜に届く光量が減少することが原因です。
コントラスト感度の低下により、薄暗い場所での物体の識別がしづらくなったり、色のコントラストが弱く感じられたりすることがあります。ただし、これらの変化は多くの場合、術後の中枢適応によって徐々に改善されていきます。読書など近くを見るときには特に明るくして見るようにする事で、見え方の慣れが進みやすくなります。
術後の中枢適応と回復過程
多焦点眼内レンズの術後は、脳や神経系の順応により見え方が変化していきます。この過程について理解を深めましょう。
多焦点眼内レンズに対する神経順応には個人差がありますが、通常は数週間から数ヶ月を要します。この間、近くのものと遠くのものへのピントの切り替えがスムーズになっていったり、コントラスト感度が改善していったりと、見え方が徐々に安定していきます。
神経順応の進み具合には個人差があるため、回復の速度が人と比べてゆっくりだとしても心配する必要はありません。
定期的な経過観察の必要性
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術後は、定期的な経過観察が不可欠です。その重要性についてご説明します。
術後の経過観察では、視力や屈折値の変化、眼圧の測定、眼底検査などを行います。これらの検査により、術後の経過が順調であるかを確認し、合併症の早期発見・早期治療に努めます。万が一問題が見つかった場合は、適切な処置を行って視機能が維持できるようにします。
術後は定期検診を受けていただき、目の健康状態を確認することが大切です。
不適応症例と慎重な患者選択の重要性
多焦点眼内レンズは、全ての症状に適しているわけではありません。網膜色素変性症などの疾患がある場合には多焦点眼内レンズが不適応になる事があります。多焦点眼内レンズに精通した医師の診察を受けて適応を見極める事が大切です。
また、夜間の運転を頻繁に行う方、正確な色の識別が必要な職業の方、極端に明るい場所や暗い場所での作業が多い方などは、慎重な検討が必要です。多焦点眼内レンズの特性と個人のライフスタイルとの兼ね合いを見極め、適応を判断することが重要です。
まとめ
本記事では、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術について、その特徴や利点などを詳しく解説しました。多焦点眼内レンズは、白内障治療と同時に近方視と遠方視の両方を改善できる画期的な選択肢となっています。
多焦点眼内レンズの選択に迷われた際は、多焦点眼内レンズに精通した眼科専門医に相談されることをおすすめします。綿密な検査と丁寧な説明により、患者様お一人おひとりに最適なレンズをご提案いたします。白内障でお困りの方が、快適で充実した毎日を取り戻せるよう、しっかりとサポートさせていただきます。
